この記事では、論理に関する初心者向けの「それゆけ!論理さん」という本を読んで重要だと考えた
- 逆や裏のケースを明確に言語化する
- 省略された前提を明確にする
- 日常生活でベン図が役立ちそうな場面
を整理します。
はじめに
日常生活や仕事において、以下のような思いを漠然と抱えていました。
- 育児に関する様々な情報やノウハウが、論理的に妥当であるかを、迅速かつ正確に判断したい。
- バックエンドエンジニアとして開発をする中で、実装や表現が論理的に正しいことを担保し、それをメンバーと共有したい。
そこで、以前読んだ「独学大全」の中で紹介されていた「それゆけ!論理さん」という本を読みました。
大学時代に一般教養の選択教科で受けた論理学の授業は、記号が多くて面食らった記憶があります。評価は「優」でしたが、やや難解だったので本当に理解できていたのかというと自身はありません。
一方でこの本は、身近な例を引いて分かりやすく丁寧に解説されているので、論理的に考えることが得意ではないと感じている方でも、無理なく読み進められる一冊だと感じます。
概要
普段何気なく使っている日本語も、論理学という観点で見ると、細かく分類と命名がされており、厳密に定義されています。
玉石混交な大量の情報が入り乱れている現代において、情報の正確さや妥当性を把握する力は重要であり、今後ますます重要になると感じています。
そこで、この本を通して学んだ内容で特に重要だと感じた
- 逆や裏のケースを明確に言語化する
- 省略された前提を明確にする
について、解説します。
また、本には情報処理技術者試験でお馴染みのベン図が何度か登場しており、私にとっては理解の手助けになりました。
そこで、私が感じる
- 日常生活でベン図が役立ちそうな場面
もまとめました。
逆や裏のケースを明確に言語化する
概要
- 日常生活で条件文を使うときは、逆や裏も含んでいると受け取られることが多い。
- 誤解を減らすために、逆や裏のケースも明確に言語化した方が良い。
解説
逆・裏・対偶
| 元の命題 | 「AならばB」 | ー |
| 逆 | 「BならばA」 | AとBの順序を入れ替える |
| 裏 | 「Aでない」ならば「Bでない」 | AとBともに肯定否定を反転させる |
| 対偶 | 「Bでない」ならば「Aでない」 | AとBの順序を入れ替えて肯定否定を反転させる |
- 元の条件文が「天気が良ければ遠足に行く。」の場合
- 逆:遠足に行くなら天気が良い。
- 裏:天気が良くなければ遠足には行かない。
- 対偶:遠足に行かないなら天気が良くない。
- 対偶は元の命題と真偽が一致しますが、逆と裏は必ずしも一致するとは限りません。
日常生活における注意点
元の条件文が「天気が良ければ遠足に行く。」の場合、天気が良くない場合については何も情報がないので、天気が大雨で遠足に行ったとしても論理的には元の条件文と矛盾しません。
しかし、この条件文の場合、一般的に「天気が良くなければ遠足には行かない。」という裏の意味も含んでいるように受け取られることが多いです。
日常生活で他人に誤解を与えないために、そして、詐欺的な話に騙されないためにも、逆と裏のケースを言語化しておくことが大切です。
例)「天気が良ければ遠足に行くし、良くなかったら遠足は中止だよ。」
※ 第5章の中間あたりと、第7章で解説されています。
省略された前提を明確にする
概要
- 前提が明示されずに省略されていることがある。
- 論理的な飛躍を防ぐためにも、省略された前提を明確にした方が良い。
解説
私も仕事でたまにやってしまいます。
私:調査の結果、機能Aでデータベースから取得される件数が常に0件になってしまうので、画面上にこのアラートが表示されます。」
他メンバー:件数が0件だと、どうしてアラートが表示されるんですか?」
私:(あー、件数が0件になるとアラートが表示されるロジックの説明が手薄だったな...)
前提が共有されていないと、相手に余計な思考負荷をかけてしまうので、まずは前提が共有されているかを確認し、必要に応じて前提を補足していきましょう。
前提に対する注意点
書籍内では「主語の大きな前提には問題があることが多い」と記載されています。例えば、「男は〜」「女は〜」「日本人は〜」などです。
その他にも、
- 偉い人が言っているから正しいと思い込んでいないか。
- 自分にとって都合が良い内容だから正しいと思い込んでいないか。
- 偏見や思い込みが入っていないか。
などにも注意が必要です。
特に個人的には、最近のSNSは目も当てられない状況だと感じます。
問題のある前提を正しく批判するためにも、何が前提かを見極められるようにしましょう。
※ 第10章で解説されています。
日常生活でベン図が役立ちそうな場面
概要
以下を考えるときには、頭の中に軽くベン図を思い浮かべたり、実際に書いてみると役立つと感じます。
- かつ(AND)とまたは(OR)
- ド・モルガンの法則(「AかつB」の否定、「AまたはB」の否定)
- 必要条件と十分条件
解説
かつとまたは
日常生活でも「晴れている場合は〇〇を持ってきてください。暑さ指数(WBGT)が31以上、または、気温が30度以上になったらXXを持ってきてください。そして、、、」のように、いろいろな条件を言われてしまい、結局何をすれば良いのかが分かりづらくなることがあります(私だけ??)。
そのようなときに、ベン図で考えて見ると、状況に応じて取るべき行動を理解しやすくなると感じます。
そして、これを駆使することで、意外と保育園から受け取った資料や手紙に矛盾や不明瞭な点が見つかったりします(性格悪い親ですみません…)。
ド・モルガンの法則
例えば、来週のBBQにはワインとビールを両方持って行く予定だったが、幹事の友人から「やっぱり両方持ってくるのは無しで!」と言われたときに、ド・モルガンの法則に則ると
- ワインのみを持って行く
- ビールのみを持って行く
- ワインとビールの両方を持って行かない
という3つの選択肢が現れます。
しっかり確認しておかないと、BBQなのにビールが無かった、という大惨事になりかねません。
上の例は割とあるあるだと思うので、「かつ」や「または」という文が否定されたときは、念入りに確認しましょう。なお、「論理的に正しいこと、イコール、相手の考えていること」とは限らないので、そのような観点からも確認は重要です!
必要条件と十分条件
物事の包含関係を理解するときにも、役立ちます。
例えば「スキーの練習をすると、子どもの頭が良くなる」というような話があったときに、「スキーの練習は、子どもの頭が良くなるための行動に包含されている」ということがパッと理解できれば、「子どもの頭を良くするために、冬は毎週末スキーに行かなきゃ!」とはならずに、「スキーの練習以外にどのような方法があるのかな?」と冷静に考えられます。
私も含め、子どものことになると途端に判断能力が鈍ってしまう方もいるのではないでしょうか。
※ ベン図は第4章に出てきます。必要条件と十分条件のベン図は逆・裏・対偶の章(第7章)で出てきます。
所感
この本の最も優れている点の一つが、各章の章末問題と、最後にある卒業問題だと思います。よくアウトプットが大事だと言われますが、まさにこれらの問題はアウトプットに最適です。
国語の問題みたいで意外と難しかったりするので、良い頭の体操になりました。
この本で学んだことを、育児や仕事にも活かしていきたいです。
なお、大学時代に受けた論理学の授業でお世話になった教科書も、著者が同じだったようです。表紙が特徴的なので、今でも覚えています。
また、本書が紹介されていた独学大全のブログ記事はこちらですので、興味があれば、こちらの記事もご覧ください。
👉 独学大全|要約・感想|効率よく学ぶための重要ポイント4選【書籍から学ぶ】
読書メモ
- 初心者向けの教科書のような本です。白チャートみたいなイメージです笑
- 各章に問題演習が付いているので、知識が定着したかや活用できるかを確認できる点が、非常に優れていると感じます。
- 演習問題を解く際は、日本語としてより自然な表現はなんだろう、と考えるとさらに面白くなります。
- 漫画部分が、日常生活を題材にして解説してくれているので、論理学に馴染みがない人にとっても
第1章 論理って何だろう?
- 論理とは話の筋道のこと。
- 与えられた根拠から結論を間違いなく導くための形式のこと。
- 話の内容や前提の内容は、いったん別問題。
第2章 命題と真偽:ただしメーダイに限る
- 命題
- 「AはBである」というような、主語と述語をそなえた記述の文ことであり、真偽の決まる記述の文のことである。
- 疑問文や命令文は該当しない。真偽が決まらないため、
第3章 否定:違う、そうじゃない!
- 否定
- ある主張の打ち消し。述語に「ない」を付けた打ち消しの形。
- 命題を否定すると、元の命題とは真偽が逆転する。
- 否定は反対とは異なり、否定される主張を除く全ての可能性を含む。
- 「勝ち」の反対は「負け」だが、「勝ち」の否定である「勝ちではない」には「引き分け」も含まれる
- 「〜べき」の否定は、文末に「というわけではない」を付けて考える。
- ある主張の打ち消し。述語に「ない」を付けた打ち消しの形。
- 矛盾律
- 「Aである」かつ「Aでない」ということはない。
- 排中律
- Aであるか、Aでないか、どちらかである。
- 中間のどっちつかずの状態を排除しているので、排中律を認めると二重否定は肯定と等しくなる。
第4章 かつとまたは:コーヒー、紅茶、それとも両方?
- AかつB
- AとBの両方が成立する(連言)
- AまたはB
- AとBのどちらか一方のみが成立する(排他的宣言)
- AとBのどちらか一方のみ、もしくは、両方が成立する(両立的宣言)
- 書籍内ではこちらを基本として進める。
- ド・モルガンの法則
- 連言の否定は否定の選言になる
- AかつB → Aではない、または、Bではない
- 宣言の否定は否定の連言になる
- AまたはB → Aではない、かつ、Bではない
- ベン図で理解すると良い。
- 連言の否定は否定の選言になる
第5章 条件文:もしも明日が晴れならば
- 条件文
- AならばB
- 例)天気が良ければピクニックに行く。
- Aを前件、Bを後件、と言う。
- Aでない場合については何も主張しない。
- 例で示すと、天気が悪い場合はピクニックに行っても行かなくても良い。
- AならばB
- 命題論理
- 否定・連言・選言・条件、を用いて命題を繋いで論証を行う論理の体系のこと
- 逆・裏・対偶に繋がる。詳細は第7章。
- 日常的には、「AならばB」と言ったときには、裏(AでないならばBでない)も含意すると捉えられることが多いので注意!
第6章 必要条件・十分条件:これが必要、これで十分
- 必要条件
- 「AならばB」という条件文が成立する場合、BはAの必要条件になる。
- BはAを成り立たせるのに必要である。
- 「AならばB」という条件文が成立する場合、BはAの必要条件になる。
- 十分条件
- 「AならばB」という条件文が成立する場合、AはBの十分条件になる。
- AがそれだけでBを成り立たせるのに十分である。
- 「AならばB」という条件文が成立する場合、AはBの十分条件になる。
- 必要十分条件
- 「AならばB」と「BならばA」が同時に成り立つとき、AはBの必要十分条件であり、BはAの必要十分条件である。
- 例)Aさんが未成年ならば、Aさんは成人年齢に達していない。
- 「AならばB」と「BならばA」が同時に成り立つとき、AはBの必要十分条件であり、BはAの必要十分条件である。
- 【補足】
- ベン図の包含関係で考えると分かりやすい。
- 必要条件・十分条件は「Aさんが横浜市民なら、Aさんは神奈川県民である。」という条件文をベースに考えると理解しやすい。
第7章 逆・裏・待遇:ポチは犬、犬はポチ
- 【前提】
- 条件文「AならばB」をベースに進める。
- 逆・裏・対偶が作れるのは、「AならばB」のような条件文か、「全てのAはBである」というタイプの文である。
- 逆
- BならばA
- AとBの順序を入れ替える
- 元の命題が必要十分条件であれば、元の命題と真偽が一致する
- BならばA
- 裏
- 「Aでない」ならば「Bでない」
- AとBともに肯定否定を反転させる
- 元の命題が必要十分条件であれば、元の命題と真偽が一致する
- 「Aでない」ならば「Bでない」
- 対偶
- 「Bでない」ならば「Aでない」
- AとBの順序を入れ替えて肯定否定を反転させる
- 常に元の命題と真偽が一致する
- 「風が吹けば桶屋がもうかる」のように、日本語の条件文には時間の経過が含まれる場合があるので、逆や対偶のように前件と後件を単純に入れ替えると、時間経過が入れ替わったように見えて違和感を覚える。「桶屋がもうかっていないならば、風が吹いていない」のように言い方を工夫して回避する。
- 「Bでない」ならば「Aでない」
- 【補足】
- 日常生活の誤解を減らすためには、逆や裏のケースについても明確に言語化しておくと良い。
第8章 推論:だから、そうなんだ!
- 推論
- 前提となる命題から結論を導き出すこと
- 前提とは、話者がとりあえず「これは正しい」と認めているものになる。
- 前提となる命題から結論を導き出すこと
- 演繹
- 前提となる命題を論理法則に従って展開する。
- 前提から結論まで一筋に繋がる推論である。学校で習った「一般論を前提として、個別のケースに展開する」は、論理学の世界では厳密には誤り。
- 論理法則とは「必ず演繹だと言える形式」であり、代表例は第9章で解説する。
- 前提が真であれば、結論も真になる。
- 前提となる命題を論理法則に従って展開する。
- 帰納
- 複数の事例から一般的な法則を導き出す。
- 前提が真であっても、結論が真とは限らない。反例が見つかる可能性があるため。
- 仮説形成
- ある事例から、それを説明する仮説を考える。
- 帰納とは異なり、複数の事例を集める必要はない。
- 証拠と補助的な前提を利用して、証拠を説明できる仮説を結論として導き出す。
- ある事例から、それを説明する仮説を考える。
第9章 論理法則:ひとつではない、冴えたやり方
- 命題論理の論理法則
- 必ず成り立つ命題や推論のこと
- 矛盾律や排中律も該当する。
- 結論の中に、前提に含まれない新しい情報は入ってこない。
- 推移律
- AならばB。BならばC。それゆえ、AならばC。
- 前件肯定式
- AならばB。A。それゆえ、B。
- 前件Aが前提となっていれば、Bという結論を導く。
- 命題そのものを利用した論理法則。
- AならばB。A。それゆえ、B。
- 後件否定式
- AならばB。Bではない。それゆえ、Aではない。
- 後件Bを否定することで、Aではないという結論を導く。
- 命題の対偶を利用した論理法則。
- AならばB。Bではない。それゆえ、Aではない。
- 選言的三段論法
- AまたはB。Aではない。それゆえ、B。
- 構成的両刀論法
- AまたはB。AならばC。BならばC。それゆえ、C。
- 背理法
- Aを仮定して矛盾が導かれたならば、Aではない。
- 間接証明の一種。命題を直接証明することが難しいときに利用する。
- 【補足】
- 前件否定式(AならばB。Aではない。それゆえ、Bではない。)と、後件肯定式(AならばB。Bである。それゆえ、Aである。)は、常に正しくなるとは限らない。仮説形成としてはありだが、演繹としては誤り。
第10章 演繹の評価:隠れた前提を探せ!
- 隠れた前提
- あるべき前提が明示されずに省略されていることがある。
- 例)「Aさんは女子だ。だからAさんは体力がない。」という命題では、「Aさんは女子だ」という前提に「体力がない」は含まれていないが、結論に入ってしまっている。
これに対して、「女子は体力がない」という隠れた前提を補えば、推移律の形式になる。
- 例)「Aさんは女子だ。だからAさんは体力がない。」という命題では、「Aさんは女子だ」という前提に「体力がない」は含まれていないが、結論に入ってしまっている。
- 主語の大きな前提には問題があることが多いので、隠れた前提に気づく必要がある。
- 「男は〜」や「日本人は〜」
- 隠れた前提が偏見や思い込みに基づく問題のある命題であることもあるので、問題のある前提を批判するためにも、何が前提かを見極められるようにする。
- あるべき前提が明示されずに省略されていることがある。
第11章 述語論理:「すべて」と「ある」の話
- 述語論理
- 命題論理(連言「かつ」・選言「または」・否定「ない」・条件「ならば」)に、全称「すべて」と存在「ある」を加えた論理体系。
- 全称命題(全称文)
- すべてのFがGだ。
- 存在命題(存在文)
- あるFがGだ。 / GであるFが存在する。
- 全称命題と存在命題の否定
- ド・モルガンの法則が成り立つ。
- 例)「すべての道はローマに通じる」⇆「ある道がローマに通じていない / ローマに通じていない道が存在する。」
- ド・モルガンの法則が成り立つ。
- 全称例化
- すべてのFはGである。aはFである。それゆえ、aはGである。
- 全称文から個別の事例について導く推論。
- 存在汎化
- aはGである。aはFである。それゆえ、あるFはGである / GであるFが存在する。
- 個別の事例をもとに存在文を導く推論。
第12章 帰納・仮説形成の評価:真実はいつもひとつ!とは限らない
- 帰納的推論を評価する観点
- 収集した事例の量と質が妥当であるか。
- 帰納的推論で導かれた法則を前提に演繹したときに、現実に即しているか。
- 仮説形成を評価する観点
- 仮説が証拠となる事実を説明できるか
- もっと有効な代替仮説がないか
- AがBの原因であることもあれば、AとBの両方を引き起こす共通の要因が存在することもあれば、単なる偶然の場合もある。
- データを批判的に見る。
以上
