「アジャイル開発に関する書籍等を数冊読んで、知識やスキルの補強と向上を図ります!」の2冊目です!
読んだのは「スクラム実践者が知るべき97のこと」です。
現在参画している案件ではスクラム開発を採用しているので、図書館でたまたま然目にしたこの本を手に取ってみました。
いつものように、私が特に勉強になったと思った内容と個人的な感想を、備忘録としてまとめています。
第1部 始め、適応、繰り返し
キーワード
- スクラムの導入に伴い、組織を変革する必要がある。
- 中央集権的な組織から、互いに協力し合う自己組織化している組織になるように、4つの価値と12の原則に則ったマインドセットに変えことが重要である。
- スクラムは方法論ではなくフレームワークであり、小さな自己組織化したチーム・リーン原則・経験主義、を基礎とする。
- スクラムのプラクティスは、まずはそのまま導入する。プラクティスが生み出す価値とプラクティスが原則に基づいていることを理解した上で、カスタマイズする。
- 採用しているプラクティスが、現時点で有効かを頻繁に確認する。
- インクリメントの完成の定義を明確にして、チーム内で共通理解とする。
感想
最近働いていて「自己組織化」が個人的には大きなテーマだと感じています。私は過去の働き方が尾を引いており、上席の承認を強く求める傾向にあります。この点に関して、マインドセットの大きなアップデートが必要だと考えています。
また、プラクティスが「現時点で」有効化を確認することの大切さを痛感しています。以前は効果的でしたが、時間が経って状況が変わるにつれてより良い方法があるかもしれない、思うこともあります。幸い私が参画している案件は非常に心理的安全性が高いので、プラクティスに関しても提案してみたいですね^^
第2部 価値を届けるプロダクト
キーワード
- プロジェクトの成功とプロダクトの成功は別物であり、まずはプロダクトの定義が起点となる。
- プロダクトは狭いスコープで定義せず、可能な限り大きく定義する。
- 会社のビジョンやプロダクトの戦略と、開発チームとをつなぐために、プロダクトのビジョンや価値、検証を活用する。
- プロダクト自体だけではなく、プロダクトのビジネス価値も、開発プロセスでの仮説検証等を通じて明確になる。
- 原則10番目の「シンプルさ(やらない仕事の量を最大化する技術)こそが本質です」を実現するために「NO」ということが大事であり、それをステークホルダーが理解して受け入れたのかを把握する必要がある。
感想
本章を読みながら自分の仕事を振り返る中で、日々の業務が忙しくなるほどプロダクトの価値よりもスプリントゴールを達成することに目が行きがちになっているなと反省しました。常に頭の片隅にプロダクトの価値をおいて仕事を進めたいです。
私自身が割とシンプルさに反する行動をしているかもしれません。「この機能はどうだろう?」という問いに対して「あると便利かもしれませんね!」と回答してしまい、優先度の低い機能をついでに開発してしまうことがあります。ついでに開発できてしまうから厄介ですね。。。
価値には直結しませんが、ソースコードのリファクタリングもしたいな><
第3部 コラボレーションこそがカギ
キーワード
- 素晴らしいチームを作るには、内発的モチベーションを持つ親身な人が安心して働ける環境を提供する必要がある。
- 意思決定する時は、「顧客 → 会社 → グループや組織 → チーム → 個人」の順序で最適であるかを考える。
- ペアリング、スウォーミング、モビングが大事である。
- チームメンバーを採用する時は、過去と現在の経験やスキルよりも、これから出てくる知識を獲得し適用できるかを重視する。
- 導入したデジタルツールに「使われて」はいけない。
感想
どこでも触れられることですが、心理的安全性の担保は非常に重要ですね。私の言動が心理的安全性の担保に寄与しているかを振り返って、自分の言動の質を向上させていきます!
メンバーの採用に関しては、VUCAの時代であることを踏まえると、書籍に記載されている通りだなと思いました。私も今後様々なお客様や現場で働く可能性がありますが、その際にも未来や変化に対してポジティブであることを相手にも伝えられればと思いました。
第4部 開発の複数の顔
キーワード
- インクリメンタルなマネジメントの前提として、インクリメンタルな開発への理解やスキルが重要である。
- プロダクトオーナー1人がユーザーストーリーを書く、という状況を避ける。
- セキュリティを考慮する点でも、「<人>として、<何>をしたい。それは<理由>のためだ。」というユーザーストーリーのフォーマットの考え方が役立つ。
- 仕掛かりの数を制限してストーリーを1つ1つ完成させることに集中する。
- リファインメントは、プロダクトオーナーと開発チームで絶対に一緒にやる必要がある。
感想
プロダクトオーナーが多忙すぎて、プランニングやリファインメントを途中で抜けてしまうことがたまにあります。開発チームだけではなく、組織全体としてスクラムイベントの重要性を認識してもらうことで、プランニングやリファインメントの時間帯に会議を被せて入られらることを防げるかもしれないので、お客様全体を巻き込んで改善していきたいです。余計なお世話かな?
仕掛かり数を制限することは非常に大事だと感じる今日この頃です。特に、異なるストーリーの作業に移るためのオーバーヘッドがなくなることは、非常にストレスが低減される印象です。
第5部 ミーティングではなくイベント
キーワード
- スプリントプランニングのアウトカムの1つとして、「ゴール達成のためにできることは何でもする、というチームの合意」がある。
- 良いスプリントゴールでは、そのスプリントを実施する価値や、解決しようとしている問題が明確になっている。
- スプリントゴールは1つに絞る。全部が重要というのは、全部が重要ではないのと同じ!
- スプリントレビューはフェーズゲートではなく、フィードバックを収集するイベントである。
- プロセスの継続的改善のために、スプリントレトロスペクティブを活用する。
感想
「ゴール達成のためにできることは何でもする、というチームの合意」というのは、チーム内でもっと強調していきたいなと思いました。レビューや確認待ちで止まることを防ぐためにも、この意識を私から醸成していきたいです。
書籍内でも指摘されていますが、私もスプリントレトロスペクティブは他のイベントと比較してやや軽いイベントかなという印象を受けていました。まあ参加できなくても仕方ないかな、という感じで。プロダクトだけではなく、プロセスも継続的に改善するという強い意志を持って、スプリントレトロスペクティブに臨みます。
第6部 マスタリーは重要
キーワード
- スクラムマスターには、プロダクトオーナー・チーム・組織の3者を支援する責任がある。
- スクラムマスターはサーバントリーダーになる必要があり、個人の業績よりもチームの成功を重要だと理解する必要がある。
- チームに対してはコーチとして接し、コーチングを通じてメンバーが自分で考え抜いて判断を下せるようにする。
- スクラムマスターにはチームメンバーを管理する権限はない。
- チーム内の透明性を確保する。
- 積極的に何もしないことが、チームにとって自己学習し成長するための機会となることが多い。
感想
最近読んだ幼児教育の書籍にもコーチングの話が出てきたので、この章で育児を中心とした日常生活と仕事がリンクしました笑。ワークライフバランスがどうのこうのと話題になりがちな昨今ですが、物事を抽象化して捉えることで、ワークとライフの両方に役立てられる知識やスキルを身につけていきたいです!
積極的になにもしないことは「あいつは暇なくせに」みたいな陰口を叩かれることと表裏一体という認識だったので、なかなか実行しづらいというのが本音でした。しかし、今のチームであれば挑戦できそうな気がしたので、何でも口を挟みたくなる衝動をもっと抑えます^^
第7部 人間。あまりにも人間
キーワード
- 人間の性格は固定ではなく、環境や時間とともに変化する。
- チームのメンバーは障害には含まれない。コーチングやサーバントリーダーシップを発揮する良い機会と捉える。
- リラックスや幸福感がひらめきを起こしやすくする。
- 在宅勤務には、休息をあまり取らず長時間働いてしまうリスクや、仕事と私生活の境界線が曖昧になるリスクがある。
感想
私は自分の性格が時と場所でだいぶ変わるなと思っていましたが、それは私が多重人格だからではなく、一般的な傾向だということを知ることができて安心しました。そのため、他人による他人の評価はあくまで参考程度にして、その人となりを私自身で確かめることを心がけます。
在宅勤務の課題について、仕事をやりすぎてしまうというのは私にも当てはまるかもしれません。寝起きから就寝まで、仕事関係の連絡が来ていないかなとか、障害が発生していないかな、とか気になってしまいます。これらとうまく付き合っていけるマインドを身につけたいです。
第8部 価値がふるまいを駆動する
キーワード
- スクラムの5つの中心的な価値である、確約・集中・公開・尊敬・勇気、に基づいて複雑な事項に対応する。
- 確約とは献身のことであり、メンバーの行動と努力の強度に適用されるものである。
- 欠陥や不備を宝として扱う。
- 思いやりを持つことの中には、穏やかでいることも含まれる。
- 教育を受けることが優越思考につながり傲慢さを生み出し、人と人とを繋げる上での重大な障害になるリスクがある。それを避けるためにも謙虚さが必要である。
感想
自分自身に厳しくするあまり、穏やかでいられないことが度々あります。自分自身に対して寛容になろうと努力していますが、なかなか結実しません。それでも、周囲に与える影響を考えると、極力穏やかでいられるように、日々挑戦し続けたいと思います!
そういえば、スクラムガイドにしっかり目を通したことがなかったな。。。積読が10冊以上溜まっていますが、スクラムガイドも積んでおこうと思います笑
今年中には積読を解消したいです。
第9部 組織設計
キーワード
- アジャイルリーダーシップとは、変化の早い環境でアジャイルマニュフェストの価値に従いながら、他の人の判断を導く方法である。
- スクラムでは誰かがリードするのではなく、常に全員がリードする。これにより、個人の嗜好や状況に左右されづらくなる。
- スクラムでは、プロダクトとチームに加えて、組織自体の改善も継続的におこなう。
- スプリントを、ゴールを追求するための一連の実験と捉える。
- 階層型組織は、「個人と対話」という価値とは相反する。
感想
リードする人は1人の方が進めやすいのではと思うこともありましたが、メンバー全員がリードすることで個人の嗜好や状況に左右されづらくなるというメリットはたしかに大きいと思いました。様々なメンバーの知見を取り入れやすくなるという観点からも、年齢性別等に関わらず全員が引っ張っているという意識を作れるように働きかけたいです。
スプリントを実験とみなすことで、心理的にはかなり楽になりそうです。過去のプロジェクトでは「絶対に失敗してはいけない」というようなプレッシャーも強かったので、新たな挑戦をしづらいと感じたこともあります。実験であれば、日々新たなことを試せるので、働くことがより面白くなりそうです!
第10部 スクラム番外編
キーワード
- デイリーミーティングは開発者のためのものであり、マーケターが開発者に説明責任を持たせるための場ではない。
- 全てのイベントは、チームの調和と団結を強い状態に復元する。
- 目標を達成するためには、チームの状況に合わせて、分散して作業したり組織横断的にメンバーを構成したり、臨機応変に対応しても良さそう。
- 子どもは本来、アジャイル的な能力を持っている。トライアンドエラー(検査と適応)によって様々なことができるようになった。
- 教育システムにスクラムを適用したものとして、eduScrumがある。
個人的な感想
子供や教育に関する項目があったので、非常に興味深かったです。
画一的な学校教育で子どもが本来持っている自由な発想などが制限されてしまう、というような論説は、色々な育児本で目にした記憶があります。それを打破するための方法の一つとして、この章で紹介されていたeduScrumがもしかしたら役に立つかもしれないと思いました。
eduScrumに関してはまだ何も知識がないので、改めて勉強したいです!
第11部 日本を中心に活動する実践者による10のこと
キーワード
- 分担した方が効率が良いというのは思い込みであり、チームの状況や仕事内容などによってベストなスタイルは変わる。
- スクラムイベントでも個人の作業でも、議論や思考が発散しないようにパーキングロットを活用する。
- 新たな論点が出たら、後で議論することを提案する。
- 新たな論点をイベントの出席者が見えるところに書き出す。
- 元の論点に戻る。
- スクラムチームに十全な能力が最初から備わっていることは稀なので、新たなスキルの獲得と、既得のスキルの熟達が必要である。
- 利用されない機能を残したままではプロダクトの開発速度が低下していくので、フィーチャーを削除するプロダクトバックログアイテムを追加する。
感想
パーキングロット(という名称であることは初めて知ったが)は無意識のうちに利用していましたが、あまり自分に影響がない場合は議論が発散しても見守っているだけの時もあります。チーム全体を俯瞰して、自分にあまり関係がない話題であっても、後で議論することを提案していきたいです。
「スクラムチームに十全な能力が最初から備わっていることは稀」ということを、いったいどれだけの人が本当に理解しているのだろうか?プロなんだから全部やれよという態度をとる人や、バックグラウンドが異なる人に対して無知であると馬鹿にする人を、稀によく見ます。その人の底が知れると言ってしまえばそれまでですが、気持ち良く仕事をしたいものですね。
書籍全体を通して
97人 + 日本人10人(組?)の経験や知見が記載されていて、様々な観点でスクラム開発について言及されているので、視野が広がる一冊だと思います。
読んでいると、複数の項で触れられている論点や単語に気づくと思います。それが重要なポイントなんだなということもわかるという点で、面白く読ませてもらいました!
個人的には、全ての項目を丹念に読み込むというよりも、
- 書籍全体にざっと目を通して、自分が気になった点を読み込む
- 新たなアイデアや知見が欲しい時に、書籍から参考になる箇所を探す
というのが良さそうに思いました。
1つだけ難点を挙げるとすると、字が小さいことです。老眼の方は読むのが大変だと思います。
基礎的なことへの理解をもう少し深めてから再読すると、気づきも増えそうです。スクラムガイドをしっかり読むか。
以上